「場」愛のある美しいお酒のあるところ。
私が美しいと感じるお酒は愛のある蔵の中からしか生まれません。
蔵の古い新しいにかかわらず、しっかりと手入れをされているかどうか。
蔵人たちはどんな表情で働いているかどうか。
蔵元が蔵にも人にも心を配っているかどうか。
インターネットに載っていない空気を感じるために、必ず蔵に伺います。
資本さえあれば、機械化しお手頃で美味しいお酒を作れる時代です。
当店ではそのようなお酒を取り扱ってはおりませんが、手に入りやすくお手頃で美味しいものを提供するということは、それもまた一つの正義だと思っております。
では自然派のワインや純米酒ばかりを扱っているのかというとそうではありません。
正直申しますと、自然派を殊更に売りにしている自然派ワインは好きではありません。
純米酒であることをアイデンティティにしている日本酒も好きではありません。
美味しさと誠実さを置き去りにした商業的なクラフト感の嘘は好きではありません。
究極的には目の前に注がれた一杯が先入観なしに「美味い!」と言わしめるものであるか、その一点に尽きます。
お酒はうんちくを傾ける為のものではありません。
世に溢れる先入観を取っ払い、目の前のお酒に向き合っていただきたい。
私は、心は誠実な造り手のみに宿すことができると思っています。
信頼のできる造り手とともに、飲み手に愛のある美しいお酒を届けます。
名前や数値以上に知っていただきたいこと、感じていただきたいことがたくさんあります。
農家さんが守る美しい風土 造り手が白い息を吐きながら仕込みをする蔵の凛とした空気盃を傾け歌い語らう飲み手の笑顔。
それらの美しい景色を思い描く想像力をかきたてるお酒を探すお手伝いをさせてください。
造り手と飲み手、そして私たち伝え手、皆にとって良い出逢いの場になりますように。
「酒」全うに美味しいこと、そして誠実であること。
お酒とは寄り添うものだと考えます。
お酒だけを楽しむのではなく
醸される文化に寄り添い、料理に寄り添い、人と場に寄り添う。
良くも悪くも目立ちすぎない素直さがあり、寄り添うものを豊かにするものだと思います。